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(2008. 5. 27号)
地球にやさしく
 
ちょうど一月ほど前のお話です。
アースデイのイベントで海の清掃ボランティアに参加していた娘が、食品保存用のプラスチックケースに入れて持ち帰ったのは、体長2〜3センチほどの小さなカニが10数匹。

「食べられるの?」ときいた私も私ですが、
「飼うんだよ!」との娘の返事にア然。どうやら彼女はそのカニ達を、淡水で飼うつもりだったようです。高校生にもなってまさか…という気分でしたが、彼女も現代の都会っ子(それほど都会に住んではいませんが、大自然に囲まれて暮らしている訳でもありません)なのでしょう。

いかに小さな命とは言え、こうして束になってかかって来られると全滅させては寝覚めが悪いというものです。彼らは何を食べるのかしら? 水は食塩水じゃダメなのかしら?(この辺の思考は娘とさして変わりませんね)などと余計なことを考えつつ、結局は思考停止というか現実逃避というか・・・とりあえず放置。彼らの仮の棲家であるプラスチックケースには海水が1センチ程は入っていますので、餌がなくとも一晩位は大丈夫でしょう。

しかし、事件は翌朝起こりました。遺体発見現場は我が家の台所の隅。小さな海を置いた場所から50センチも離れていない地点です。
こういうことも想定して、海には軽めにフタをしておいたのですが、彼らの中でも大きくて力のあるその個体は、見事脱走に成功したらしいのです。しかし、一路本物の海を目指して旅立った矢先に力尽き、すっかり乾ききった状態で発見された模様です。

この小さな事件で私たち親子に突きつけられたのは、
「全ての生物は、生きられる環境でしか生きられない」
というシンプルかつ動かしがたい真実でした。あまりにも当たり前過ぎて
「だから何なの?」と思った方もいらっしゃるでしょうが、それは私が頭で考えたことではなく、仮にも娘がペットにしようと連れてきた生き物の死を目の前にして、体の底から湧き上がってきた実感でした。

さて、2008年5月13日付の紙面には、〜国土交通白書「温暖化対策」前面に〜という記事が出ていました。白書には私も一通り目を通しましたが、そこには一般的に知られているよりもはるかに深刻な地球温暖化の現状が報告されていて、もはや「地球にやさしく」などと生易しいことを言っている場合ではないようにも思えてきます。私たち人間も、生きられる環境でしか生きられないのですから。

地球温暖化が日本の国土にもたらす影響として、白書には
1. 洪水・土砂災害リスクの増大
2. 渇水リスクの増大
3. 高潮災害リスクの増大
が挙げられています。山地が多く火山活動も活発で、海に囲まれていることから、
「我が国の国土は、地形、地質、気象等の面できわめて厳しい条件下にある」のだそうです。

今年2008年は、京都議定書の第一約束期間がスタートした年です。
日本は2012年までの5年間で、Co2排出量を1990年度から6%削減しなければなりませんが、実は2006年度時点のCo2排出量は、1990年度から6.4%の増加となっているのだとか。減らすどころか逆に増えてしまっている状況に危機感を覚えないではいられません。
さらに、2005年度の家庭部門、事業所部門のCo2排出量が、1990年度と比較してそれぞれ1.37倍、1.45倍になっていることは紙面にあった通りです。これらの分野がCo2排出量全体の34%を占めるとなると、住宅・建築分野に向けられる期待の大きさも当然であるようです。

追伸:
娘が我が家に連れて来たカニたちは、プラスチックケースの中でその後4日間生き延びました。その間に、淡水に溶かして使う“海水の素”なるものがあることを知って購入しようとしたのですが、その日たまたま海方面に用事ができ、無事に本物の海に放して来ることができました。




佐藤名ゝ美

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー。
生命保険会社、生損保代理店と通算9年の保険営業の現場を経て 2000年に独立。新聞・生活情報誌・ウェブサイトでの執筆や、行政・企業で の講演などにも精力的に取り組みながら、地元熊本に根差してFPコンサルティング活動を展開中。